サイド/ナレーター
「・・・え?何、みんな揃いに揃って無視しちゃってる系?」
仮にも一国の王子が出てきたのだ。
いくらビヨンセじゃないからといっても、相手にされないとやはり寂しい。
そんな王子の呟きも虚しく、周りは相変わらずざわついている。
「もしかして、私って嫌われてるのかな・・・」
「そうなんじゃないですか?」
「そこは否定してくれよ悲しくなっちゃうだろ!」
「はいはいはいはい・・・・・・と、王子、どうやら別の理由があるようですよ」
「え?何、何?」
向こうです、とパンパが歩き出す。
放って行かれたら堪らないので、と、慌てて追いかける王子。
「・・・ん、と、女の子が一人倒れてますね。」
「え?もしかしてビヨンs
「 ”八百屋 紫” の娘さんですよ。えっと・・・ナスさんです。」
なんだつまんない、とぶつぶつ呟く王子の隣で、
先ほど王子を殴るために用いられていた本に目を通すパンパ。
・・・正確には、本の間に挟んであった資料に目を通しているのだが。
その後ボールペンを取り出し、資料に一通り何かを書き加えると
足早に現場へと向かった。
そして、放って行かれては堪らないので、と、やはり慌てて追いかける王子。
「すいません、今の状況を教えていただけませんか?」
第15話
「やっぱり私って嫌われてるんじゃないか?」
~ええそうですよ、笑顔で答えるだけの優しさ~
「やっぱり私って嫌われてるんじゃないか?」
~ええそうですよ、笑顔で答えるだけの優しさ~
大きいお城の入口付近に、真っ赤な車が停まっていた。
「はい、着いたのだよ」
「ツンデレラさん、お疲れ様でした」
「よ、よかった・・・」
生きててよかった。
セミは今、心の底からそう思っていた。
「・・・と、私たちははここまでしかご一緒出来ないのですが・・・」
「無断駐車は罰金だからね。
ってわけで私たちはしばらく徘徊してるから、そうだなあ・・・
・・・今9時半だよね?
12時になったら迎えに来るから、それまで城で待っててほしいのだよ」
「あー・・・うん」
いつの間に、こんな見ず知らずの他人の言うことを聞くようになったのだろう。
セミはつくづくと、そう思っていた。
「それと、城内なのでそんなことはないかと思いますが・・・
・・・不審者、には、気をつけてくださいね?」
「まあ私達が不審者なんだけどね!ふふふふふ、冗談なのだよ!!」
いや冗談じゃないよ!!
充分あんたら不審者だよ!!
「・・・じゃ、私達はこれで。」
「まったねーい」
魔法使い達はそう言い残し、赤い車と共に夜の街へと消えた。
車の灯りが急速に小さくなってやがて消えるのが、
あの魔法使い達のことのように思えて、
不安でいっぱいになった胸を少しでも鎮めようと、
消えゆく灯りに向かって、小さく、手を振った―――。
ども。なんか微妙ですが15話です。
大丈夫です魔法使いは戻ってきます。
出番はまだあります。案外
プロットとか骨組みとか一切ないんで、多少の矛盾は勘弁してください。
+@
加筆、修正しました(19日23:00~)
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