たまごな地下部屋

サイド/ツンデレラ

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「って言われてもねえ･･･」







そう言うお義母さんは、呆れたのか、関心がないのか。









そのまま、右手側に置いてあったスネアドラムを、軽く回し出す。















･･･スネアドラムをご存知だろうか。








スネアドラムとは、まあ俗に言うバンドとかで使われるドラムの、

小太鼓の部分だ。




･･･最も、これは叩くためにあって、投げ飛ばすものじゃないんだけれど。












「だって、ねえ、『スネアの回し方 27巻』が出たっていうんだもの。

　私欲しいのよねー。最新刊よ最新刊。

　本当、私が尊敬すべくはやっぱり先生なのよ。あー早く読みたい」


「家直すまでお預けです」


「えー･･･」









ぶー、とお義母さんは拗ねるように言う。








･･･何この人。精神年齢何歳よ。














さあここで『スネアドラムの回し方』という本について説明しよう。




『スネアドラムの回し方』っていうのは、

その名の通り、スネアドラムを回すテクニックとかを載せてる本。


こんなおっかない本、よく出版を許したなあ、って思うけど。



主にブーメランから世界一周とか、その業界の中では色々あるらしいのよね。




そうそう、執筆者は某バンドの有名なベーシストらしい。






･･･なんでドラマーじゃないかは知らないけれど。




今まで26巻まで出てて、お義母さんは一応全巻持ってるのね。




軽くは全部マスターしたらしいんだけど、これが週刊で出るの。



前に一度休刊期間があったのよね。


あのときのお義母さんのストレスの溜まりようっていｔｔ

















「･･･あ、そういえば。」








ふと思い出した、とある人物。













「最近、お義父さん帰ってきてないですよね」








･･･そう、この一家にももちろん ”父” という存在はいる。





この家に引き取られた当初はよく見かけたんだけど･･･。












お義父さんは、明るくて、ブレザーで、そして、少しコーヒー臭い人だった。






引き取られた当初は幼かった３姉妹。って言っても３年前だけど。




お義父さんによく懐いていて、仲のいい父子だなあと思っていたものだ。


特に和夫なんかは、SMAPの次の次の次の･･･まあ、20番目くらいに好きだった。













･･･正直、少し羨ましかったのかもしれない。





あたしも、あたしのお父さんが大好きだったから。















ま、死んじゃったんだけどね。














でも、最近はそんな光景が見当たらない。








どうしたのだろう。














「あー･･･お父さんね、今、新しい嫁さんのとこ行ってるから」







へえ･････････････へ！？







驚いて目をお義母さんに向けると、何もなかったかのようにスネアを回している。













･･･その瞳は、窓から差し込む夕日を反射して、紅く燃えていた。














「ふ、複雑な家庭事情ですね･･･」









な、何を言えばいいんだろう･･･。






こういうときって慰めるべきだったかな･･･？



でもそんな真似、あたしがするはずないじゃない。



なんであたしが、他人様に情けをかけなきゃ―――













「本当。滅べばいいのに」















お義母さんの目が、部屋の電気に反射して光った。








絶妙のタイミング過ぎて、思わず噴出しそうになるのを堪える。













「･･･？ツンデレラ、それよりご飯は？」


「あ、っていうかたまにはお義母さんやって下さいよ！」


「何でよ。私面倒なの嫌いなの。それにツンデレラ、あなた家事好きでしょう？」


「･･･う･･･」





違うんだけどなあ。




でも、言い返す言葉もないので、とりあえず後ずさる。










「お腹減ったわ。ご飯早くして頂戴」


「･･･わ、かり、まし、たッ！」








そのままバン！と勢いよく扉を閉める。














廊下を歩きつつ、窓に目をやる。














「修理代どうしよう･･･今日はふりかけご飯だな･･･」














真っ赤な夕日がかき消されるように、蒼く、蒼く染まっていく。

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うっぎゃーもう３時かー！


なんとなく書いてたらなんとなく出来ました。


この話長いかなー


あんま気にしてないんですけど。




ちなみに


お義父さんモデルは国語の山ケって先生です。


スネアの執筆者は･･･うん、また明かせるときに明かしますｗ