サイド/ナレーター
「なーママ、なんかこれ渡せってさー」
そう言いながら、お義母さんの元に駆け寄るツナ。
お義母さんにまず渡して、それから和夫、セミ、カチューンへと配っていく。
「ん?ビンゴカード・・・何の遊びなの?これ。」
「分っかんね。ただ―――
”パーティは、これがないと始まんない”
・・・らしいけど。」
「は?よく分かんないな・・・何それ、誰が言ったの?」
「うぅ・・・さぁゃさんとかいう人・・・だっけ」
「まあいいじゃん!うへへ、和夫、ビンゴ嫌いじゃないよー」
「何言ってんの和夫、あんた、ビンゴなんてやったことないでしょ?」
「あーるもーん!二週間前拓哉さんとやりましたー!!」
「あんたはその妄想癖どうにかしなさいよ!!」
何をー!!と、また喧嘩になる妹達。
そんな二人の声を制すように、スピーカーから城内アナウンスが流れてきた。
―――ただいまより、”王子とハチャメチャビンゴ大会”を開催致しまーす!―――
そんなハチャメチャなさぁゃのアナウンスと共に、扉と反対側にステージが現れた。
第21話
「昨日は拓哉さんとビリヤードしたもん!!」
~昨日ビリヤードしたのはあたしとマルだから!~
「昨日は拓哉さんとビリヤードしたもん!!」
~昨日ビリヤードしたのはあたしとマルだから!~
「あー!王子だー!!」
ツンデレラご一行の隣で、王子の存在にいち早く気づいたのか、急に叫びだした人がいた。
その声を合図に、皆身を乗り出して王子を探す。
それぞれが「鼻高いわね」やら「鼻にティッシュ詰めてる」やら、各々観賞している中で、
「・・・背が足りない。」
お隣さんは、恨めしそうに呟いた。
「・・・え、どうなってんの?」
ここからステージは真反対側。
更にステージへと歩み寄る客達が邪魔だったのか、和夫にはよく見えなかったようだ。
そんな和夫のためか、はたまた気まぐれなのか、セミが背伸びをして向かい側を見る。
「んー・・・んだろ、なんかステージに・・・
・・・あ・・・!っげ、冠男がいる・・・」
「えっ嘘、王子!?」
「えっ嘘、金づる!?」
「ろ、露骨に言うな和夫っ馬鹿!」
ゴッ、という鈍い音は、歓声に混じったのかそうでないのか、何故か聞こえなかった。
・・・和夫が蹲っている事は、王子に夢中な人々は気づかないだろう。
そして、セミの頬が、すごい勢いで紅潮しているのも。
そんな和夫達に見向きもせず、カチューンが尋ねる。
「あれ?ツナどこ?」
「あんた馬鹿ねえ。そっちいるでしょ」
ほら、と、母の指差す先には、さっきの叫んだ声の主と話すツナがいた。
「・・・あれ?何で?」
「何でってほら、・・・あーうん、ツナ、戻ってらっしゃいな」
説明が面倒だったのか、手招きしてツナを呼び寄せるお義母さん。
一瞬母の方へ振り返り、再び叫び声の主の方を向いて、しばらくすると帰ってきた。
「ううう・・・う、うへー、ツナー誰それー」
完全に自分の世界に入り込んでいるセミの隣―――下とも言うのか―――で、
話に乗り遅れた和夫が、単刀直入に質問した。
「ん?ああ、この子、ガメちゃんね」
「こんちはー!ガメです!」
その後、叫び声の主ガメと軽く自己紹介―――ツナとは、手習所で会っただとか―――を済ませ、
少しロスしてしまった時間を取り戻すためにも、ステージの前へ行こうとした。
「へっへーい!和夫が一番乗りー!!」
「あたしが一番に行くんだから!待ちなさいってば!!」
「っちょ、俺が一番だっつの!先行くな!!」
ガメのことなどすっかり忘れ走り去った三姉妹と、その勝敗の行方は、人ごみの中に紛れて消えた。
「こら、ツンデレラも早く戻ってきなさい」
「え、あ、うん、は・・・誰?」
「えっと・・・カメちゃんとかそんな感じn
「ガメです、話は聞いてますよ、ツンデレさん♪」
にこり、笑いかけながらそう言うガメ。
しだいに明るく照らされていくステージとは裏腹に、
セミの顔に影がおちたのは、言うまでもない。
はい。また新キャラですね。
ガメさんです。
ふう。いつお城編終了しよう・・・orz
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でもめちゃくちゃちょっとだね。