サイド/ダリ・セミ
私は今、幸せの絶頂にいる。
部下のさぁゃ―――あいつ、普段は気に食わない奴だが、こういうときは頼りになるのだ。
今ならあいつとコサックダンスを踊ってやってもいいぞ!
・・・おっと、くじが始まるのかな。
もたもたしてられない。平静平静・・・。
・・・どうしよう、にやにやが止まらないぞ!
第23話
「微笑みの貴公子、って呼ばれたいお年頃」
~私とキャラ被ろうだなんて、いい度胸ですね~
「微笑みの貴公子、って呼ばれたいお年頃」
~私とキャラ被ろうだなんて、いい度胸ですね~
「では、王子、これを回してください」
これ、と呼ばれたそれは、商店街等の抽選に使われる―――俗に言う、”ガラガラ”であった。
パンパさんが渡したガラガラを受け取るダリ王子。
その顔は、邪心むき出しで笑っていた。
・・・何こいつ。
「ふふっ・・・ふふふ、ふはははは!!」
まるでどこぞの魔王のように、高笑いしながらガラガラを回す。
舞台に集まる人々には、それすらかっこよさの条件になりうるのだろうか。
馬鹿らし・・・。
そう思う一方で、その人たちが羨ましくも思えた。
カラン、と、可愛い音を立てて、小さな玉が出てくる。
「・・・84、84番です」
パンパさんの声が城に響き渡った。
隣では和夫が「和夫!和夫だよ!」と、アホみたいに叫んでいる。
あたしもカードを見ると・・・なんと、左下に”84”と書いてあった。
不意に、頬に血が上ってくるような感覚に襲われた。
気付かれやしないか、慌てて辺りを見回す。
右隣では、ツナやらカチューンやらが、和夫を小突いていた。
当の和夫は、照れなのか自慢なのか、頭を掻きながらカードを見せびらかしている。
・・・姉妹って羨ま、
そこまで思って、ふいと目線を左にずらす。
すると、考え込むように顎に手を置いたお義母さんが、舞台に見入っていた。
「お、お義母さん・・・?」
恐る恐る、お義母さんに声をかけてみる。
・・・お義母さんって何考えてるか分かんないから、変に気に触れちゃっても困るし・・・。
だが、そんな不安も他所に、振り向きもせずお義母さんは言った。
「んー・・・と、ああ、どうしたの?」
「いやそれはあたしの―――」
そこまで言ったところで、あたしの言葉はお義母さんの台詞によって遮られた。
「あの王子、絶対なんか企んでるわね・・・」
「は?」
・・・企み?
「た、企むって何を・・・」
「さあ?・・・私には、そこまで関係ないことだものね」
お義母さんは、私には、を強調し、あたしの方を見て、言った。
・・・あたしには、お義母さんの方が何か企んでいるような気がしてならなかった。
「まあ、あんたも色々気をつけなさいよ。」
タッパーで塞がっていたはずの手であたしの肩をたたき、そして再び舞台へと目をやる。
・・・ビンゴゲームに参加するつもりはないようだ。
「? は、はあ・・・」
訳も分からず生返事を返すあたし。
・・・変なお義母さん。いつものことだけど。
そう半ば無理矢理に納得して、あたしは次の番号の発表を待つことにした。
この忠告の意味が明らかになるのは
もう少しだけ、後の話。
最終回の目処(←?)がようやくたったので、執筆意欲沸いてきました。わーい!
ていうかもう少し前進させる予定だったんですけど。
前振りなげー!
・・・すいません、もう少し精進します。
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