サイド/セミ
ゴォン
ゴォン
ゴォン
ゴォン
そんな鐘の鳴る音と共に、あたしの頭にはある言葉ばかり渦巻いていた。
『12時になったら迎えに来るから、それまで城で待っててほしいのだよ』
12時になったら・・・
12時・・・
「―――あーーーーーッ!!!」
すっかり忘れてた!
どうしよう、あのまま車盗られたら、あたし・・・!
「いきなり叫ばれて・・・どうしたんですか?」
パンパさんが鬱陶しそうに言ったって、今のあたしには関係ない。
あれがないと・・・お義母さんの車・・・!!
「す、すいません、あの本当、時間ないんで帰りますね、ほんっとにごめんなさい、じゃ!」
挨拶もそこそこに、あたしは正面玄関に向かって走り出す。
後ろであらゆる人があたしを見てるのが分かったけど、でもそんなの関係ない。
・・・ああもうこれ!走りにくいなあカオスちゃん!!
「私のツンデレラ!いったいどこに行こうとし
「うっさい変態寄んじゃないわよ!!」
ティッシュじゃ抑え切れなかった鼻血を垂れ流しながら寄ってきたダリ王子に、
履いていたペットボトルを投げつける。
ぐぶふぉっと潰れた声が聞こえた気がしたけど、でもそんなの関係ない。
あたしは、残りのもう片足も投げつけて、脇目もふらずに走り出した。
第26話
「師匠・・・またコンビニ出入り禁止になっちゃいましたね・・・」
~出番がないから題名出演 ピピン編~
「師匠・・・またコンビニ出入り禁止になっちゃいましたね・・・」
~出番がないから題名出演 ピピン編~
「・・・それで、そのままペットボトル投げつけてきちゃったんですか・・・?」
「うっふふふ!!だったらもっとゆっくりすればよかったのにー!!」
今あたしと話しているのは、あの魔法使い2人組。
あの後、ラティとミッチーの呼びかけもスルーして飛び出した先で、
この二人は仲良くちくわを食べていたのだ。
「大丈夫なんですか?
そんなに怖いお方なら、見つけて火あぶりにされるとか・・・」
流石にそれはされません。
・・・いや、でもあながちされないとも言い切れないかも・・・
「火あぶり!っふっふっふ、いいねえ!!
私も火にあぶったちくわが食べたいのだよ!!」
よくねえよ!!
いいからお前は黙ってろ!!
運転席で真面目に火あぶりの心配をする弟子と、
助手席でちくわの火あぶりの想像をする師匠と、
・・・それに+あたし、って、どんだけ場違いなの・・・
「あ、そういや、あんた達ってどこに泊まるの?」
「「・・・・・・・・・・・・」」
「・・・・・・家来る?」
「ひゃっほーいやったのだよ!寝床ゲット!!」
「師匠!今宵は熟睡できそうですね!!」
運転席で笑顔のピピンと、相変わらずのにやにや顔のパディ。
・・・あたし、熟睡できるのかな。
「よーしピピンっ、130km突破なのだよー!」
「はいっ!!」
「ちょ、無免許がそんな飛ばさな、ねえ聞いてるの本当嫌だっ誰か―――!!」
ああ、お城に行くときも叫んだ気がするな。
加速する車の中で、うっすらと、そんなことを考えていた。
そして、すっかり夜が明けた頃。
あの後車内で熟睡してしまったあたしをどう部屋に入れたかは知らないけど、
起きた頃にはあの魔法使いの姿もなくて。
まるで昨日1日の出来事が全て夢だったかのように
あたしは、当たり前の朝を迎えていた。
眠たいです。
そろそろ寝ようかな。
そしてさり気なく魔法使い再登場です。
すぐに去りました。(
話が短いのも、
眠たいから です よ
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